私はな、丸官はんに、軋々と……四角な天窓乗せられて、鶉の仕切も拷問の柱とやら、膝も骨も砕けるほど、辛い苦しい堪え難い、石を抱く責苦に逢うような中でも、身節も弛んで、恍惚するまで視めていた。あの………扉の、お仕置場らしい青竹の矢来の向うに……貴女等の光景をば。――
 悪事は虎の千里走る、好い事は、花の香ほども外へは漏れぬ言うけれど、貴女二人は孝行の徳、恋の功、恩愛の報だすせ。誰も知るまい、私一人、よう知った。
 逢阪に店がある、餅屋の評判のお娘さん、御両親は、どちらも行方知れずなった、その借銭やら何やらで、苦労しなはる、あのお爺さんの孫や事まで、人に聞いて知ったよって、ふとな、彼やこれや談合しよう気になったも、私ばかりの心やない。
 天満の天神様へ行た、その帰途に、つい虚気々々と、もう黄昏やいう時を、寄ってみたい気になって、貴女の餅屋へ土産買う振りで入ったら、」
 と微笑みながら、二人を前に。
「多一さんが、使の間をちょっと逢いに寄って、町並灯の点された中に、その店だけは灯もつけぬ、暗いに島田が黒かったえ。そのな、繃帯が白う見えた。」

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